著者:三木一馬
長々と書かせていただきましたが、ここからが、僕が本当に伝えたいことです。
「他の小説編集者と、どこが違うんですか?」
と、雑誌のインタビューなどで、質問されることがあります。そんなとき僕は自問自答してみるのですが、実はなにも思いつきません。
なぜなら、僕がやっていることは、他の誰もがやっていることと同じだからです。どこにでもいる、ただの現場編集者です。
しかしひとつだけ、他の編集者と唯一違っていたところがあるとしたら――。
『明るく楽しく!』。どんなことでも、明るく楽しんでやることです。
たったそれだけ? と感じられたかもしれません。
僕は第四章『必ず『対案』を出せ!』で「打ち合わせの場では、明るく楽しく!」と書きました。それは、同じ経験をするにしても、起こった出来事に対してどういう考え方で取り組んだか、どういう受け止め方をするかで、後の結果に大きな違いが生まれると思っているからです。
素質や才能という面においては『最弱』な部類であった自分が、この考え方によって『最強』と胸を張ることができるようになりました。大切な『自分ルール』として、『最弱(さいきょう)の働き方』を見つけることができたのです。