【第七章  メディアミックスとは「知る機会」を持ってもらうこと  ~広げる(メディアミックス術)~】

■メディアミックスの最終目標

 これは僕の夢でもあるのですが、メディアミックスの最終目標はハリウッドでの映像化です。

 なぜかというと、ハリウッドの映画やテレビシリーズは、全世界、全歴史の中で、もっとも莫大な予算と高度なVFX技術、高い集客力を持っているエンターテイメントの最高峰だからです。

 つまり、「すこしでも多くの人々に知ってもらう」というメディアミックスの目的から考えると、まさに最終地点と言えるのです。

 しかしハリウッド系コンテンツは、権利契約をスタジオ側と交わすとき、原作サイドには相当厳しい条件を提示されますし、シナリオについても、内容的に関して原作サイドからの介入はほぼできません(正確には、最終『承認』権を与えてくれないということです)。ですから、今までのファンの皆様の期待を裏切らないように実現するとなると、そのハードルはかなり高いと思います。

 ただ僕自身は、世界最高峰の舞台に電撃文庫の原作が立てるというのはとてもすごい事だと思いますから、是非実現したい! と考えています。

 いま一番その可能性の芽をもつのは、『ソードアート・オンライン』だと思います。アニメ・原作ともに全世界規模でヒットしていて、原作は累計一六七〇万部を突破し、今もなお国内・国外問わず部数を伸ばしています。アニメも一期、二期を合わせたパッケージ(BDやDVDのこと)販売数は全世界で一〇〇万枚に迫っています。とくにドイツでは四巻構成の一期アニメが累計で六万五〇〇〇本売れるなど、国内の平均的なアニメパッケージ売上に負けていません(ドイツの国民性として、日本人と同じく好きなアニメを『購入して保管する』傾向が強いのだそうです)。ハリウッド系コンテンツはその巨大なマーケットと比例した巨額の制作費がかかりますので、『全世界で売れること』が最低必須条件で、『SAO』はその項目を満たしていると考えています。もちろん、やるとなったら『空気を読んだメディアミックス』理論でハリウッドに挑んでみたいと思います!