著者:三木一馬
面白い小説と、つまらない小説の差はなんでしょうか?
文章力があるかどうか、でしょうか。
キャラの描写が上手いかどうか、でしょうか。
パッケージイラストが美しいかどうか、でしょうか。
どれも正解ではありません。
ではもっと下世話に、売れているかどうか、でしょうか?
もちろん、これも間違いです。
ライトノベル(通称ラノベ)とは、主に中高生向けのエンターテイメント小説のことを指します。ヒット作はマンガ化やアニメ化も盛んに行われるとても人気を博しているジャンルです。そしてありがたいことに、電撃文庫がその代名詞とも言われています。
電撃文庫を代表とするライトノベルは、数年前から毎年二〇〇億円を超える産業になりました。この数字は書籍の売上だけを示したものであり、グッズやゲームといった派生商品、アニメコンテンツなどの売上は入っていません。それらを含めると、この何倍にも拡大するでしょう。一般文芸にもまったくひけを取らない数字です。
ラノベの代名詞である電撃文庫ですが、実は僕の所属する電撃文庫編集部では、自分たちがつくっている本をライトノベルだと思ったことはありません。
電撃文庫のコンセプトは『面白ければなんでもあり』です。自分たちがつくるものがラノベかどうかという意識を、そもそもしていません。それは、読者の皆様が判断してくださればいいと考えているからです。『送り手側がジャンルを縛る』のは、読書の自由を制限しているような気がしますから。
とにかく、面白そうなものやドキドキワクワクするものを楽しくつくる、それが一番大事!
編集部員一同、そう考えています。